「見つけた」



男は、綺羅とレインを見つめて顔をしかめた。
「誰だ、あの女……もしかして」
かぶっていた帽子を外す。
「一名様でよろしいですか?」
「はい」
「お名前のほうは?」
「予約していた、沙羅です」
「沙羅様ですね、ではお部屋に……」
「ありがとう」

垂れ目に少し童顔の男。
旅館の従業員は顔を赤らめながら部屋へと案内する。
その間も男は顔をしかめている。
誰にも悟られないように…