「私、紅葉初めて見た…」
「うんうん、着てよかったね!」
「あぁ……少しだけ楽しめそうな気がする…」
「少しだけ??」
「……いや、多分楽しい慰安旅行になるだろう、な」
「そうだね」
「お前が企画したんだろう、お前が落胆してどうする。」
「だって……レインが楽しんでないから」
「わ、私は…十分た、のしんでいる」
「え!?本当!!」
「あ、あぁ…」
レインは顔を赤らめながら頷いた。
綺羅は満足そうに満面の笑みを浮かべた。
「温泉は四種類あるんだって!!凄くない!?」
「凄い、のか?」
「うんうん!!ゆず風呂とか初めて入るよ!」
「へ、へぇ…」
「しかもしかも!!」
「?」
「混浴!!!」
「……」
全身の筋肉が硬直した。
“混浴”とは男と女がお風呂を共に…っ!?
「あ、ありえん!!!そんな旅館があってたまるか!!」
「でも、パンフレットにはそう書いてあるんだって~♪」
「ありえん!!私は断じて……」
パンフレットを見てレインは絶句した。



そこにはこう記されていた。



当、旅館は“混浴”となっております。
お部屋にもそれぞれ専用の温泉が完備されております。