二人は一斉に立ち上がり、声がしたほうに歩み寄る。
「もしかしてお客さん?」
「大歓迎だよー!!ささ、こちらにどうぞ~」
綺羅は喜びを隠せず気持ちの悪い笑い声をあげている。
レインは少し嫌な表情を浮かべた。
しかし、その表情は誰にも悟られない。
「で?で?依頼は?依頼は?」
「綺羅、少し黙れ」
「は~い」
「ご依頼を」
「あ、はい…。少し家庭的なお話なんですが…」
「それでも大歓迎ですよ~~!」
「少し前、夫が私の友達と不倫しているのが分かったんです…。その時は自分を制御して許すことになったんですが、その後次は私の後輩と不倫したんです…。
その次の不倫も私はなぜか許してしまったんです、夫を信じて私は…っ」
女は涙を流しながら語ってくれた。
「夫は…、私の親友の真由子と子供を作ったんです…、私の子供は欲しくないといったのに…っそれが悔しくて悔しくて…、私復讐をしたいんです」
「で?その復讐内容は?」
綺羅は真剣な表情で黒縁のメガネをクイッと上にあげた。
レインはフードを軽く下に下げる。
「夫と…ソイツを…………殺してください」
「殺すことには反対しませんが、それ相応の金額を払っていただきますが?」
「その件については大丈夫です、お金なら…夫の生命保険の全金額を差し上げます。」
「生命保険を貰うってことは後払いか」
「スミマセンが奥さん、俺達なんでも屋は先払いなんですよ」
「それは承知しております…、でも今渡せと言われても…」
「いいじゃない?綺羅、そんなに焦らなくて」
「そうだね、レインの言うとおり。でも、お金を払わなかったら俺達は地球の反対側まで追い続けますから」
綺羅は不敵な笑みを見せた。
この男は金が絡むと厄介になる。