「で?どうするの?」
「どうって…俺は真由子と…」
「ふざけないで、真由子より私を“愛してた”でしょう?」
「違う、あれは…」
「何度もやってきた癖に私はただの性処理道具だったの?ありえないわ」
「……とにかく、俺は君とは結婚する気はない」
「ふ~ん、これを見てもまだその意地を貫けるかしら?」
真琴さんが見せてきたのは想像を絶するような動画だった。
「みて、真由子。苦痛に顔をゆがませてる」
『ぎゃああああああああっ!!!』
バキッ
ボキッ
骨の砕ける音が聞こえる。
「やめろっ!!今すぐ真由子をっ!!!」
「じゃあ、サインして」
「はぁ?」
「真由子を助けたかったらこの結婚届けにサインしなさい。」
「ふ、ふざけんな!!」
「あら、じゃあ…もっとやっていいわよ」
『OK』
『ぎゃあああああああああっ!!うぎぃっ!ぎゃっ…』
声にならない声を上げる真由子。
『真琴~、コイツ気絶しちゃった』
「チッ…」
「ま、真由子?」
「大丈夫よ、骨が砕けただけでしょう」
「お前っ!!」
「悔しい?でもね、この届けにサインをするだけで真由子の命だけは救ってあげるわ。」
俺は悔しかった。
何もできない自分。
真由子さえも守れない自分。
真由子は白目をむき、よだれを垂らし気絶している。
足は打撲したかのように内出血が酷かった。
これは…殺人未遂だ。
「あら、する気になったかしら?」
「……俺がお前と結婚したら真由子には害を与えるなよ」
「それが条件ね?」
「あぁ…」
「結婚成立」



―――そして俺と真琴さんは結婚した。




皮肉にも、結婚式まで挙げられた。
真由子は松葉杖をつきながら参加していた。
目に光は無く、ただ俺達をボーッとしながら見つめていた。


ごめんな…っ真由子。