真琴さんと会う機会が日課になっていた。
気さくな性格の真由子とは違って真琴さんは強引で傲慢だった。
だから、誘惑に負けたのかもしれない。
肌を重ねる回数も増え、思いっきり二股だった。
その時、
『私、雄一さんと結婚したいな』
この時はさすがに断った。
俺は真由子と結婚するつもりだっていって…
でも、彼女はそんな易々と許すような“お人よし”ではなかった。
次の日から、彼女はものすごい不機嫌になった。
仕事での失敗、友人とのトラブル。
それをすべて俺にぶつけてきた。
俺はこんな気性の荒い女とずっといたんだ、と理解した俺は真琴さんと会うのは止めた。
しかし、真琴さんは俺の電話に毎回電話やメールを送ってきた。
メールは“裏切り者”と記入された奇妙なメール。
電話は留守番電話で“死ね”と連呼した録音メッセージが一日五十件以上はきた。
そして悲劇は起こった。
その日は少し遅めの帰宅だった。
部屋はいつも通りシーンと静まり返っていた。
しかしこの時は…不穏な雰囲気がした。


『死ね』


背後で聞き覚えのある声がしたかと思うと頭に鈍い衝撃が走った。
頭は揺れ、額からは熱を帯びた赤い液体。



―――そこで意識は途切れた。