次の日、大谷真琴が事務所を訪れた。
突然の訪問に驚きを隠せない。
しかも、この前来た時とは別人のような服装だった。
「なんでも屋さん」
「はい…ご用件は?」
「アイツ等を早めにぶち殺してほしいんだけど」
「でも、実効日まではあともう少し時間が…」
「うるさいわね!!お金を払ってやるんだからさっさと仕事しなさいよ、こっちだってね、恨んでる相手を生かしておくほどお人よしじゃないのよ」
「この…っ!」
「レインっ!!!」
レインの拳が降り下ろされる前に綺羅の声が事務所中に響き渡った。
「レイン座って」
「…チッ」
「何よ急に…っ」
「では、実効日を一週間後にでも変更しましょう」
「えぇ、一週間後ね。」
「はい、では…早めにお引き取り願います」
綺羅は、真琴をさっさと事務所から追い出した。
「何だ!!アイツは…っ、なんかこう…イライラする言い草だっ…」
「俺も、レインに賛同かな。」
「私は、アイツとアイツの不倫相手を殺した方がいいと思う」
「んー…まぁ、今は計画を一週間後に変更した事だけを大谷雄一に連絡しよう」
「そうだな…」

敵か、味方かって聞かれたらどっちとは答えられない。
私達はあくまで“依頼”をこなすだけ。
双方からの殺人依頼。
私達はどちらかを見極めて殺さなくてはいけない。
でも、依頼は依頼だ。
私達にそんな特別な感情輸入をする権利はない。
あくまで“こなすだけ”だ。