「で?依頼内容は?」
「えぇ、私の妻のお話なんですが…、妻と別れたいんです」
「と、いいますと?」
「妻は気性が激しく、よく私にあたってきます。仕事がうまくいかなかったり、男関係で何かいざこざがあった時はよく私を…っ包丁で切り付けます」
「…殺人未遂ですか」
「昨日は二の腕を切られました…私は、狂気にまみれた妻とは別れたいんです!どうか、離婚をしたいんです!!」
「離婚しても彼女は追ってくる」
「……はい、ですから」
「早い話、真琴さんを殺してください」
隣に座っていた真由子が口を開く。
「ま、真由子っ!」
「いいでしょう?雄一さんも真琴を殺してほしいんでしょう?雄一さんを傷つけてのうのうと生きている真琴が私は不思議だわ」
「失礼ですが、真琴さ…いえ、その奥様とは面識が?」
「昔の親友ね。今は違うわ。雄一さんを傷つけてるだけの狂気よ!!!」
「お気持ちは理解しました、ではどちらの選択でしょう?」
「……妻と、不倫相手を殺してください」
大谷雄一は頭を深く下げた。

「不倫相手とは?」
「不倫相手の海藤です。海藤は先日、真由子を階段から突き落とし…今は証拠不十分だという理由で釈放されているんです、いつ真由子が狙われるか……だから!早めにあの二人を………」
「どうする?レイン」
「…っ、決めかねるな」
「お願いします!!!本当は私は、アイツとは結婚したくなかったんです!!アイツとは政略結婚で、本当は真由子と結婚するつもりだったんです!!」
「雄一さん…っ」
「アイツは悪魔だ…生きた、人間に化けた悪魔なんですっ!!」
その言葉を聞いた瞬間、レインの体が少し揺れる。
「では、依頼額は2000万円でいかがでしょう?」
「2000万なら確実に出せます」
「では、交渉は成立ってわけですね。ただし俺達の事は内密に。後、ご自分の身に何かが起こっても俺達は一切保障しかねますので」
「綺羅!!」
「では、後ほどご連絡を」
「は、ハイ」
真由子と雄一は肩を並べ事務所を後にする。