―――新宿の一角にある小さな小さなビルの中にあるのが“なんでも屋”
そこは頼まれた依頼を難なくこなす。
無理なお願いも聞き入れ、一度も放棄したことはない。
「おい、綺羅」
「なんだ~い、レイン」
「お前、この間の依頼はどうした」
「あー、この間のねぇ。この間のは俺が一人で片付けた」
「何故私に相談しない」
「レインは忙しかったから、あと俺でも片付けられる仕事だったから」
「…チッ」
「君も頼られるっていう優越感が分かってきたのかい?」
「綺羅と同じにするな」
「酷いなぁ…」
レインはまるで息子の愚息を言う父のように綺羅の文句を言い続けた。
「大体ね、綺羅は人の気も知らないで…」
「ハイハイ、ごめんよレイン」
綺羅は『参った』とい言わんばかりの表情を浮かべた。
「俺もレインに文句が一杯あるよ」
「何」
「顔を見せてよ」
「この前みたでしょう」
「もう一回!!あまりにもキレイすぎて惚れちゃいそうだよ」
「キモイ」
いつものように綺羅の惚れ話を聞かされレインは呆れていた。
最近は仕事も極限に減っている。
しかし、今日はなぜか“仕事が来る”という予感が二人にあった。
その時、

「あ、あの……誰か、いますか?」