「演奏する曲は3曲だし、演奏し慣れてる5大学ジョイントライブの時の曲にしないか?

あれだったら多分、すぐに勘を取り戻せるだろ?」


小山君の言葉に、キョウセイが数回頷く。


「里桜ちゃんはどう…?」


「う…ん。どうかな。

だってね、9月のライブで声が出なくなって以来、ずっと歌ってないの…。

正直、ちょっと怖い…」


うつむいていると、相原君が口を開いた。


「里桜ちゃん。

あん時は、朝田さんも来てたし、それで動揺してもうたんやろ?

でも今は、キョウセイとも気持ちが通じ合えたんやし、絶対大丈夫や。

もし声が出えへんかったら、俺らがちゃんとフォローする!

一人でやってるんやないんやから」


「相原君…」


「僕、2TRが解散したなんて思ってないから。

これからだって、ずっとやっていくつもりだから。

ちょっとだけブランクあったけど、再スタートの良い機会だろ?

一緒にやろうよ、ねっ」


小山君の言葉に、なんだか胸がいっぱいになった。


私だって、出来ることならずっと続けたかった。


またこのメンバーで出来るなら、こんな嬉しいことはない。


「小山君。私…出る」


私の言葉に、ぱっと笑顔になる小山君。


「やった!キョウセイもいい?」


「あぁ…」


にっこり笑うキョウセイ。


「やったー!むっちゃ楽しみやー!

俺らの再スタートやな」


そんなこんなで。


私とキョウセイは、急遽ライブに出演することが決まったのだった。