もう一度抱いて

「な?

なんも同情するとこあらへんやん。

少なくとも、俺はそうや」


俺は今日初めてにっこり笑った。


涙が流れるにつれ、さっきまで硬かった彼女の表情が、みるみる柔らかくなっていく。


と同時に、ピリピリしていた空気も和んでいった。


俺は黙って、彼女が泣き止むのを待った。


しばらくすると、涙も少し落ち着いて来たので、俺は静かに口を開いた。


「なぁ、朝田さん。

里桜ちゃんと朝田さんの決定的な違い、教えたろか?」


俺の質問に、えっ?と明らかに嫌そうな顔をする彼女。


「……。

どうせ里桜は優しくて、私は優しくないとか言うんでしょう?」


朝田さんは、少し頬を膨らませている。


「残念やけど、不正解や」


「えっ?」


意外そうな顔の彼女。


「じゃあ…、何なの…?」


興味あんねやな。


「それはな…」


彼女はゴクンと息を飲んだ。