拓真の言ってる意味がわからず、頭の中がグルグルと回る。


譲るって…。


何…?


「気づかへんかった?

俺、里桜ちゃんが好きやねん」


ドクンと心臓が大きく音を立てる。


「…嘘…だろ?」


確かに、以前拓真が永瀬にキスをしているところを見たけど。


まさか、好きになっていたなんて。


「嘘やないで。

本気や。

せやけど、里桜ちゃんがお前のことをむっちゃ好きやから、あえて身を引いただけや。

けど、お前がそんな態度なんやったら、何も遠慮はいらへんよな。

ええんか?

俺が仕掛けても」


鋭く言い放つ拓真。


俺は胸がキリキリと痛んでいた。


どう答えていいかわからず、震える唇をぐっと噛みしめた。


「余裕なんやな。

里桜ちゃんがお前を思ってる気持ち、信じてんねやな。

せやけど、どうやろな?

こんな状態がずっと続いたら。

さすがにお前の気持ち、信じられへんようになるんとちゃう?」