「里桜、楽しみにしてたのよ。金曜日に磯村君の部屋に泊まること。

バカみたいに沢山荷物を詰め込んで。

私、呆れて笑っちゃったんだから。

でも、それも…。

全部、無駄になっちゃったのよ…」


涙ぐむ亜美ちゃんの顔を見ていたら、俺はなんや猛烈に腹が立って来ていた。


朝田さんも朝田さんやけど。


それであっさり戻るキョウセイに。


「どんなにお互い好きでも、これじゃあ里桜はフラれたも同然だよ。

一緒にいられないんだもの。

もともと不眠気味なのに、多分ほとんど眠れてないのよ。

顔色が悪くて、目の下のクマもすごかったから。

磯村君もさ、京香の心配より里桜の心配をするべきじゃない?

あの子が何も文句を言わないのをいいことに、甘えてるとしか思えないよ」


亜美ちゃんの言う通りやと思った。


あの子はつらい時につらいって言えん子やねん。


しんどい時ほど、頑張ってまうねん。


キョウセイは、それにも気づいてへんのやろか?


「2TR、無事に大学祭に出られるかな…?」


複雑そうに呟く小山。


俺ら三人は同時にため息をついた。