もう一度抱いて

病院の玄関に到着すると、私はキョウセイにメールを入れた。


しばらく待っていると、病院の自動ドアから出て来るキョウセイの姿が見えた。


今日のキョウセイは、長袖の茶色のカットソーと、細身の黒いパンツを履いている。


キョウセイは私に気づくと、真っ直ぐ私へと向かって歩いて来た。


昨日会ったばかりなのに、久しぶりに会うような気がしてしまう。


キョウセイは私の前で立ち止まると、苦しそうに目をきゅっと細めた。


疲れた顔をしたキョウセイに、胸の奥がチクリと痛む。


「キョウセイ…」


消えそうな声でそう呼ぶと、キョウセイは私の腕をぐいっと引き寄せ、強く抱きしめた。


その衝撃で、私の肩から大きな荷物がボトンと地面に落ちた。


救急病院は人が多く、玄関付近は沢山の人が出入りをする。


多くの人の視線を感じたけれど、それでもキョウセイは私を抱きしめたまま離そうとはしなかった。