もう一度抱いて




電車の窓に流れるように映し出される街の景色を、捕らえることなく、ただ眺める。


キョウセイの電話を切った後、私はすぐに電車に乗り込み、キョウセイがいる救急病院を目指した。


肩に食い込む大きな荷物。


でも、感覚など全く感じなかった。


私は、さっきキョウセイが説明してくれた話を、頭の中でリピートしていた。


京香のマンションに行ってインターホンを押したものの、シンとしていて返事がなかったこと。


留守だとも考えられたけれど、どうしても様子を見なければならないと思い、管理会社に電話をして事情を説明し、鍵を開けてもらって中へ入ったこと。


だけど、彼女は部屋にはいなくて…。


まさかと思いバスルームに入ると…。



その床に倒れる京香の姿があったことを…。