もう一度抱いて

その後私は、何かに取り憑かれたかのように、ひたすら歌い続けた。


そうしないと、立っていられそうになかったから。


歌うのを止めたら、不安で押し潰されてしまいそうだったから。


そうして、18時までの練習はあっという間に終わってしまった。


結局、キョウセイからの連絡はなかった。


仕方なく私達は片付けをして、スタジオを後にした。


課外活動ホールの外に出ると、外はもう薄暗くなっていた。


4人で駅までの道を歩く。


私はみんなの後ろをトボトボと歩いていた。


どうしても押し寄せる不安を、消し去るように頭を左右に振る。


そんな私に気づいて、相原君が私の背中を押して歩き始めた。


「きっと大丈夫や。なっ」


明るい声色の相原君の言葉に、なんとか口角を上げた。


その時だった。


私のスマホの着信音が鳴った。