「里桜、なんか今日やたら荷物が多くない?」
亜美に言われ、ドキッと心臓が鳴る。
「あ、えと…」
モジモジと目を伏せると。
「あーっ、わかった!
今日は磯村君の部屋にお泊り?」
ボッと頬が赤くなるのを感じつつ、私はスタジオへの道を急いだ。
「そ、そういう亜美だって、今日は小山君が来るんでしょ?」
「まぁね。
小山君は親と同居だし、どうしても私の部屋になっちゃうんだけど。
それにしても、そんなに荷物が必要?一体何入れてるのよ」
呆れた顔の亜美。
「だって、2泊するんだよ。
着替えだってそれだけ必要だし、パジャマもいるし。
髪がクセ毛だからコテも必要でしょ?敏感肌だからそれ専用の化粧品と、あとは一緒に観たいDVDと、それから…」
「……。
磯村君、きっと呆れるだろうな…。
ま、そういうところが可愛いと思われてるんだろうけど」
クスクスと笑う亜美。
なんだか恥ずかしい。
とりあえずスタジオに着いたので、二人で扉を開けた。



