ほんの数秒だけ触れて唇を離すと、俺はまたぎゅっと里桜ちゃんを抱きしめた。


心臓がバクバクするもんやから、俺の胸の前に耳がある里桜ちゃんに丸聞こえやろなと思った。


「相原君…」


「ん?」


「またキス、したね?」


「あー、うん」


前にもキスしたけど。


あん時は、なんでしたんかようわからへんかった。


でも、今は…。


「一回目は事故やったけど。

二回目は確信犯や…」


ボソッと呟いた。


「……。

このバンド、キス魔が多い…」


ちょっと怒った口調の里桜ちゃんに、思わずクスッと笑ってもうた。


キョウセイと里桜ちゃんを観察しとるうちに。


俺はいつの間にか、この子の魅力に取りつかれてしもうたみたいや。


朝田さんも言うてたけど。



知らん間にみんな。



この子を好きになってしまうんやろな。