それからは、私達はただ黙ってモーニングセットを口にした。


その人からは、コトリとも音がしない。


食事をしながら私は、やけに綺麗に食べる人だなと感心していた。


「ねぇ」


「ん?」


「タバコ吸っていい?」


「あぁ…。どうぞ」


食事が済んで吸いたくなったのか、彼はポケットから箱を出し、トントンと箱の底を叩いてタバコを1本取り出した。


口にくわえ、ライターで火をつけると、ふぅと紫煙を吐き出した。


「あの、さ…」


「ん?」


「信じてもらえないかもしれないけど。

俺も普段、こういうこと絶対しないんだ…」


「はぁ…」


「軽い男だと思ってるだろうけど」


まぁ…ね。


公園でいきなりキスしてきたんだもの。


そういうことばっかりしている人かと思ったわよ。


「マジで初めてなんだ…。
こんなことになったの…」


なぜかチクリと胸が痛んだ。


彼も、後悔しているんだね…。


私とこうなってしまったことを。