もう一度抱いて

「ほんならなんで友達なん?」


「うーん…。
彼女ね、苦労してるの。
親も離婚しちゃったし」


「え、なにそれ」


「詳しくは言えないけど。
すごく思い悩んで、色々あったのよ」


「かわいそうってこと?」


「う…ん」


うつむく里桜ちゃんを見ながら、俺はちょっと腹が立って来ていた。


「里桜ちゃん、そらアカン」


「え?」


「かわいそうやから、友達やってんねやろ?」


「…ど、どうかな?」


「かわいそうや思うて、同情してんねやろ?」


「……」


「俺、同情って一番嫌いやねん。
俺やったら絶対されたないから。

力になってあげたいーとか思うんやろ?
何やねん。その上から目線。

それってなー、相手の力を信じてない証拠やねん。

同情なんかしとったらなー、相手はいつまでもかわいそうな自分から抜けられへんねん。

共感はしてもな、同情する必要はあらへんねん。

そんなんで友達でおられても、俺は嬉しくもなんともない!」