水道の蛇口をひねり、庭の水蒔き用の青いホースの先から水を出し、里桜ちゃんの右足へとかける。


「どない?」


「う…ん。多分大丈夫」


「一瞬当たっただけやから、大丈夫やろとは思うけど。
ーにしても、里桜ちゃんって案外どんくさいねんな」


「うっ」


俺の言葉に、ちょっとショックを受けてる様子の里桜ちゃん。


「まぁな。
気になってしゃーないんやろ?
キョウセイが」


俺がそう言うと、里桜ちゃんは目を伏せてしまった。


「もうそろそろええかな?」


「うん。ありがとね」


俺はきゅっと水道の蛇口を閉めた。


「こっちにも椅子あるし、こっちで食べよかー。俺、なんか取ってくるわ」


俺は焼けた肉や野菜や、さっき里桜ちゃんが食べたそうにしとったじゃがいもを取って、里桜ちゃんの近くへと向かった。


お客さんのおるところと違って、こっちは灯かりがないせいか暗い。


背もたれのないベンチに二人で腰掛け、早速食べることにした。


「わ、おいしいね」


「ええ肉やな、これ」


串にがっつく俺の横で、里桜ちゃんもおいしそうに食うとる。


俺は上品に食べる子より、おいしそうに食べる子の方が好きやねん。


朝田さんはキョウセイばっかり食わして、自分はほとんど食うてへん。


多分、串にがっつくんがイヤなんやろな。


一個一個、箸で外しとったもんな。


せっかく俺らが一生懸命串に刺したのに、全く意味ないやんけー。


やっぱアカン。


なんや気に入らん。