もう一度抱いて

「里桜!大丈夫?」


いつの間にか部屋に戻って来ていた亜美が、私の背中をトントンと叩いた。


「どうしたの?震えてるよ。落ち着いて。落ち着いて、里桜」


私の背中を必死にさする亜美。


その感触に、少しずつ気持ちが落ち着いて来た。


「亜美…」


「里桜、どうしたの?
廊下を歩いてたら、いきなり叫び声が聞こえて、慌てて部屋に入ったんだよ。
目が真っ赤じゃん。
泣いてたの…?」


亜美の言葉に、また涙が溢れてしまう。


「里桜ー。何があったのよ。
あ…。
もしかして思い出したの?
平野君とのこと…」


私はコクンと頷いた。


「京香が現れたせいね。
もう、あの子最悪ー。
なんでこう私達の前に現れるのかしら」


亜美はハッと強く息を吐いた。


「でも、それにしたってこんなに泣くなんて、ちょっとおかしくない?

山から帰って来てから、元気ないような気がするわ。

山で磯村君と何かあったの…?」