キョウセイはにっこり笑って、私の右手をサッと取った。


え…?


「足元が結構ぬかるんでる。
コケたらいけないから」


トクン…と、心臓が音を立てる。


まただ。


キョウセイといると、私の心臓、全然落ち着いてくれない…。


「じゃあ、行こうか」


そう言ってキョウセイは、私と手を繋いだまま歩き始めた。


ど、どうしよう。


すごくドキドキする。


「永瀬はどんくさそうだからな」


「はぁ?」


「絶対転びそう」


「ぜ、絶対って何よー!」


思わず頬を膨らませると、キョウセイはククッと喉を鳴らして笑った。


時々こうやってからかわれるのは、どうしてなんだろう?


まぁ、いいか。


さっきよりちょっと、緊張がほぐれた気がするし。


あれ?


もしかして、そのためだったのかな?


キョウセイも、実は照れていたとか…?


まさか、ね。


考え過ぎだ。