重たい身体を引き摺り、今日も私は仕事へ向かう。
その日常は変わらないけど、だけど、今日はちょっとだけいつもと違った。
更衣室の前を通る時、ふと誰かとすれ違って、その人がすれ違い様ほぞりと私に何か呟いたからだ。
「………と付き合ってんの?」
「……え?」
最初の言葉を聞き漏らしてしまった。
けど、言いたい事は何となく分かった。
多分、トシくんの事だ。
バレてしまったのだろうか?
でも、バレる様な行動は取っていない。
昨日だって細心の注意を払いトシくんと会ったんだから。
誰かに私達の関係がバレてる訳ない!
それより、こんな事言う人は誰?
それが気になって通り過ぎた彼の背中を見詰める。
が、それが誰かなんて私には分からなかった。
けどあの声、聞き覚えがあるような……?


