シーツの波に溺れながら、私は必死に彼にしがみつく。
彼の表情も苦しそうに歪み、けどその先にある快楽を知っているから、うっ、なんて切なそうな声を漏らしながら、ひたすら私を揺さぶる。
いつも私達はこうやって身体を重ね、一時の快楽に溺れて。
けど、トシくんと一つになれる瞬間が一番幸せだと私はいつも思う。
はぁはぁと荒い息遣いだけが部屋の中をせしめ、私の上にいた彼はゴロリと私の横に寝転がった。
「ご、ごめん…なさい。背中に爪……」
「別に、いいよ。俺、家ではシないから」
「………」
そうなんだ。なんてその言葉を聞きちょっと安堵しながら、でもその台詞は私を現実に引き戻す。
家てはシない=家にはそういう相手がいる。
知ってはいるけど、甘い余韻の中にいる私にはちょっときつい一言だ。
「ごめん、瑠菜……。そんな顔しないで……」
「………」
いつもよりも甘い口調で彼は私の髪の毛を弄びながらそう告げる
そんな顔って?私、どんな顔してんの?


