私、泣いてるの?
すっーと頬を掠める優しい指先。
その指先が私の涙を拭い取る。
その指先を目で追っているうちに、どちらからともなく視線は絡まって、けどすぐに彼は私を腕の中に閉じ込めた。
「ごめんな、こんな関係嫌だよな。
でも、俺は瑠菜の事、手放せない……。俺、瑠菜が居ないと生きていけない」
トシくんが苦しそうに囁く台詞に、私の身体にはぞくりと甘い痺れが走る。
「あ、あたしもだよ、トシくん。
トシくんが居ない世界なんて考えられない」
私も彼の背中に手を回しギュッと抱き締める。
トシくん、この気持ちは本当だよ。
本当は彼に伝えてはいけないのかもしれないけど、けど知っていて欲しい。
トシくんが私を思ってくれているように、私もトシくんの事思ってるから。
私の気持ち、トシくんに届かなくてもいいから、知っていて貰いたい。


