き、決めるって……。
こう言う場所は初めてじゃあないけど、こうあらかさまに聞かれると恥ずかしくなる。
「どの部屋がいい?」なんて聞いてくるトシくんはいつもは優しいのに、本当こう言う時はイジワルだ。
「えーと……」
「どうしよっか?この前の部屋空いてる、そこでいい?」
そ、そんな事、私に聞かないで!!もう本当に恥ずかしい。
そんな俯いて頬を赤く染めている私を見て、彼はクスリと笑みを漏らす。
「さーて、早く行こうか。ここに居る時間が勿体ない」
「………」
もう、嬉しい一言だけど、本当にイジワルなんだから!!
一旦離れた手が再び私の手を探り当て握り締める。
私もその手にほんの少し力を込める。
ふたりしてあまり広くないエレベーターに乗り込みさっき選んだ部屋に向かう。
その間、私達は一言も喋らない。
そんな部屋までの沈黙が余計に私の鼓動を高鳴らせる。


