白々しくそう言いながら私を食堂へ促す。
まさかそんな私達の姿を第三者の彼が見ていたなんて、私はちっとも気付かずに。
◇◇◇
「ごめん、待った?」
「うん、少しだけ……」
息を弾ませ私に近付いて来る彼。
本当は『少しだけ』じゃあないけど、毎回この台詞で彼を向かえ入れる。
そんな私は彼を待ち望んで居たから、トシくんの胸の中に素早く飛び込んだ。
「トシくん……」
「瑠菜、ちょっと大胆。まだ街中だよ」
そう言いながらも彼は嬉しそうに微笑みながら私をギュッと包み込み、いつもよりも優しい笑顔を私に向ける。
私もそれに応える様に彼に微笑み返す。
「どうする?お腹空かない?どっか食べに行く?それともコンビニ?」
暫く抱き合った後、彼からの拘束はゆっくり解けた。
けどしっかりと私の手を握り締め、指先が私の指先に絡み込む。
それが何となく特別って感じで嬉しくて、私は彼の話しなんて耳に入らない。
「瑠菜、話し聞いてる?」


