『好きな子』って………。堂々とこんな所で言わないで!?



なんて思う反面、その言葉一つで私の気持ちは天に昇るほど幸せを与えてくれたりする。



私って、なんか現金。



そんな彼の腕の中で頬を染めていると、耳元で彼が小さく囁いた。




「今日、行く?」


「えっ?」


「っーか、そんな顔みたらシたくなっちゃった。ダメ?」


「だ、だめじゃあないけど……」


「じゃあ決まり。いつもの所行こうか?

詳しくは後でメールする」


「………」



仕事中なのに、『シたくなっちゃった』って。



私の顔が益々赤みを帯びる。



が、彼からの拘束はそれとは反対にすぐに解かれてしまった。



それがちょっと不思議だった。



いつもなら私をその余韻と共にもう少し包み込んでくれるのに。



取り敢えず、赤くなった頬を両手で押さえる。



すると彼は私の肩を掴み、くるりと進行方向を変える。



「さーて、昼にでもするか。何にするかな?」