フロントに戻ると同期の高橋瑠菜〈タカハシ ルナ〉がすぐに私に話し掛けてきた。



「ねぇ美伽、顔赤いけど大丈夫?

熱でもあるんじゃあない??」



そう言いながらすぐさま私のおでこに瑠菜の手が滑り込む。



私は、瑠菜の話しを聞いて初めて知った。




ーー私、顔赤いんだ。どうしよう!?




たぶんその原因はさっきの萩原さんの台詞のせいだ。




あんな風に仕事中、男の人に声を掛けられ食事に誘われるなんて初めてだから……。




私のおでこに触れていた瑠菜の手は、今度は自分のおでこに。



小首を傾げながら「熱はなさそうね」なんて呟いて、私も「大丈夫だから」と彼女に伝えた。



それから自分の持ち場に戻ると、ふっとため息を吐いた。



今度は今さらながら、心臓がバクバク言い始めた。