「ねー、今日なに?」
お夕飯なに?
の意味だ
最近碧のことが少しずつわかるようになってきた
「鮪のたたき丼!」
「相変わらず顔に似合わないものつくるね」
碧にとってどんなイメージなんだろう?
「どう言うことよ」
「んーなんかパスタとかのイメージ」
「鮪のたたき丼嫌い?」
「好きだけど…やっぱなんか米食べてるイメージがない」
「でも碧来る日は大体米じゃない?」
「そうだけど…」
「米好きだよ?」
「俺も」
「じゃあいいじゃない」
「うん…まあ…」
「じゃあはし出して?」
「うん」
そっか
つぎはぎパスタにしようかな?
「いただきます!」
碧は絶対挨拶をしてから手をつける
今はなにも言わないで食べる人増えてるのに…
普段は言葉足りないのに
ちゃんと礼儀とかはわかってる
そういうとこ人間性出るよね
「どうよ、米」
「うん、旨い!」
「でしょ!今日はね、美味しいたたき鮪のが実家から来たから」
「おまけは?」
これは
おかわりある?
ってことだ
「うんあるよ」
「お願いします」
そういってからになったどんぶりをさしだす
それに米と鮪をよそった
「はい」
「ありがと」
「そう言えば宿題終わったの?」
「なんとか、明日までだから間に合って良かったよ、ほんと」
「ためないでやんないと」
「…宿題頑張ったし、デート行きたい」
デート…
碧にはデートする相手がいるのか
なんか
素直に応援できないな
「…ごちそうさまでした」
碧の話は聞こえなかったことにした
と言うかなにも言えなかった
碧もそれ以上なにも言わなかった
片付けはいつも通り碧がやってくれた
たぶんこういうのが
特別ってことなんだろうな
私にとって碧は
きっと特別
だから素直に応援できない
恋愛はしない
したってどうせムダだから
意味ないから
したってどうせ…
「そろそろ」
これは
そろそろ帰るね
の意味
でもこんなことわかったって意味がない
さっきまでは
碧のこと少しわかるようになったことが嬉しかった
でも今はこんなに色褪せて
意味ないことに思えてる
「うん、了解」
結局碧のあの発言から気まずくて
あまり会話も弾まずじまい
「じゃあ」
じゃあまた来るね
ってとこかな
「うん、またね」
そういって
エレベーターにのるまで見送って
鍵を閉めて
そして
そのあとベランダに出て洗濯物を取り込む
少し湿気ってしまっている
そのあと再びベランダに出る
下をうかがうとちょうど碧が歩いているのが見えた

