海斗くんの顔をもう一度、ちゃんと見る。



うん、やっぱりカッコいい!!その辺の、売れない芸能人より…へたすれば売れてる芸能人くらいカッコいい!!



でも、心臓は何の音も立てない。どうやらアタシにとって海斗くんは、恋愛対象になはならないらしい。



「海斗くんてモテるでしょ?」



何となく聞いてみた。聞くまでもないとは思うんだけど。



「そんなことないよ。」



謙遜しちゃって、この顔はどう見たってモテる顔だ。学校でも、キャーキャー騒がれてたし。



今さら、そんな嘘いらないよ。



「ねぇ、ここで会ったのも何かの縁だよ。どっか寄ってかない?」



すると、海斗くは暫く黙り込んで「何か奢るよ。昨日のお礼もあるしね。」と言った。



「いいっ!!奢りとかいらない。」



「え?」



「なんで…?」



なんでって、そりゃあただ単に奢ることよりも面倒くさいことを頼むから。



「奢りとかいらないから…今度の土曜日付き合ってよ?」



「え?」



「彼女いないんだよね?それとも何か用事でもあった?」



「ほらっ、ボサッとしてないでとにかくどっか入るの!!」



いつまでたっても何も言わない海斗くんを急き立てる。