こんなにも堂々と俺の財布をスっている見た目はエリートのオヤジの存在に。



見た目はね?人の財布スッていることからして、エリートでは無いことは確かだが…



俺が気付かない間に立ち去ろうとしる見かけ騙しのエリートオヤジ。



その時、車内にドスのきいた声が響いた。ドスといっても、元々の声は高いようだ。



「おいっ!!」



そこでやっと俺の意識は車内に戻った。



オヤジが振り返るとそこには1人の女の子がいた。



いや、女の子という表現は間違っているのかもしれない。



そこには1人の金髪に近い茶色の髪をした、強烈なギャルがいた。



金髪ギャルがオヤジの胸ぐらを無造作に掴む。



金髪ギャルに掴まれた振動と金髪ギャルに驚いて、オヤジがヴィトンの長財布を落とした。



「──財布…俺の…?」



デニムのポケットを探るがやはり財布は入っていなかった。



俺が冷静に財布を探すその間にも、ギャルの怒鳴り声は響いていた。



「てめぇっ!!まじでふざけんなよ!!ちゃんと仕事してます。僕は真面目な人間です。みたいな顔して、朝から堂々人の財布盗ってんのかよ!?どうせ、てめぇみて〜のが、うちらを1番バカにしてんだろ?アンタにうちらを怒る権利があるわけ?まだアタシの方が真面目だよ!!」