まだ開店前のため、裏にある従業員専用の入り口からお店に入る。



「空花ちゃんー?」



お店の方へ声をかけると、すぐに空花ちゃんはやってきてアタシを出迎えてくれた。



「おっす!!早かったね。もう準備出来てるよつ。」



「我が儘言ってゴメンね?本当にありがとうっ!!」



「いーからいーからぁ、ってか何で制服なの?」



「後でまとめて話すね。」


お店の椅子に座ると、空花ちゃんは早速準備に取り掛かった。



美容室でシャンプーをしてもらうと、本当に気持ちい。思わず、夢の世界に旅立ってしまいそうになる。



「熱くない?」と聞く空花ちゃんに「大丈夫」と答える。



早朝の店内にはパシャパシャという音だけが静かに響いていた。



その音が何故か、今のアタシには物凄く心地よかった。



───…



「つな、麗奈っ!!」



「ぬぁっ!?」



「寝てるし。アタシに朝から働かせといて、自分は寝るわけ?」



こ、怖っ!!



後ろに、かなり黒いオーラが見えるよ。これは、まだ21歳の女の子が出すものじゃないよ。



「ご、ごめんなさい。」



「もぉ、寝ないでね?」



「…はい。」



笑顔の空花ちゃんが凄く怖い。