人気が少ない駅の自転車置き場まで来ると、それまで握っていた麗奈の腕を離した。



麗奈の顔を見るとなぜかニッコリだし。



いったい何!?



「…何笑ってんの?」



俺は怒ってんだけどね。それに、麗奈もキレてたし…。



「へっへへー、麗奈の作戦勝ち!!っみたいな?」



「はぁ?」



麗奈はピースを作り、俺に満面の笑顔を見せてくる。


「だってさ、なかなかオーケーしてくれないんだもん。だったら海斗くんをキレさせて、オーケーさせりゃあいいじゃんっ♪て考えた訳よー。」



「…何それ。」



「海斗くんってさ、昔から礼儀とかはちゃんとしてないと怒ってたから。怒らせるのは簡単だったよ。」



…もう、本当に何それっ!?怒った俺って、いったい何なの!?



年下の麗奈に、こんなに簡単に誘導されてたとか本当にガキじゃないの。



「ゴメンね?」と上目遣いする麗奈には、もう騙されない。きっとコイツも空花みたいに可愛くないんだ!!


「…海斗くん、土曜日来てくれるよね?」



「もーいいよ。土曜日何処に行けばいい?」