あれから頑張って空花から麗奈の連絡先を聞き出し、空花の店を出たのは午後6時。
空花のせいで、1時間もあそこで時間を潰してしまった。
何度言っても、俺が「麗奈のこと気になってる」って言って俺の話を聞こうともしない。
本当に困った姉だ。
駅に向かって歩き出した時に後ろから声をかけられた。
「海斗くん?」
そんなに聞いたことも無いのに、もうこの声を覚えていたなんて驚いた。
「あ…麗奈、ちゃん」
振り返った先には、予想通り放課後校門で別れたばかりの麗奈が立っていた。
「麗奈でいいよ、ちゃんとかキャラじゃないし。」
「あぁ、うん。」
まぁ、本人の前以外では呼び捨てだけどね。
「こんなとこで…って空花ちゃんの店か。仲イイんだね?」
「あんまり、普通だと思うよ。」
「ふーん。」
「…」
別にそこまで親しいわけでもないので、会話が続かない。
何を話せばいいのやら…
「海斗くんってモテるでしょ?」
両手を後ろで組み悪戯っぽい笑顔で、俺の顔を見上げてくる。
そんな仕草に俺は不覚にもドキッとしてしまった。
「そんなことないよ。」
「ねぇ、ここで会ったのも何かの縁だよ。どっか寄ってかない?」
今度はニッコリと微笑む。
確かに麗奈は、空花が言うように可愛いし綺麗だと思う。
麗奈こそ、モテているんじゃないだろうか?


