「いらっしゃいませー…って海斗かよ。あーあ、笑顔振りまいて損したー」
俺の顔を見るなり素晴らしいほどにくずれた営業スマイルと猫なで声。
入って早々五月蝿い…というか、ガキくさい姉だ。
はぁ…
ゴンッ
「って!!…何すんだよ」
思いっきり、俺の頭にヒットした空花の拳。いい加減落ち着けよな、一応妊婦なんだから。
「アタシの店で溜め息ついてんじゃねーよ。お客さんが来なくなったらどうすんだよ!!」
あぁ、空花の後ろに阿修羅が見える気がする…。
「…スミマセン。」
「まぁ、実の姉と弟の感動の再開はこれくらいにして…海斗がうちにくんの珍しいね。どーした?」
感動の再開ねぇ…。これほど感動とは遠い再開ってないと思う。しかも再開ってほど会ってないというわけでもない。
それにしても…
「店の入り口で話しを勧めるのは次期オーナーとしてどうかと思う。」
「な"!?…てめ、誰にむかって意見してんのか解ってるわけっ!?」
「本当のことでしょ。」
入り口で怒りを顕にしている空花を置いて、休憩室に入り姉の分もコーヒーを入れる。
ん?妊婦ってコーヒー飲んでいいのか?


