拓真と別れてしばらく行ったところで、ポケットから傷がたくさんついた白の携帯電話を取り出す。
着信メモリに埋まっていた番号を探しだし、久しぶりに電話をかける。
《…あ"?んだよ、クソガキ》
電話口から聞こえてきたのはとてつもなく不機嫌な…
「あ、空花?今からそっち行ってもいい?」
《あんた、誰に向かってそんな口きいてんの?今からそっち行ってもいいだぁ?いつから、偉くなってんの?》
怖っ!!
「っと…、今から其方に向かっても」
《べっつにいーけどぉ?好きにすれば。でも、今からはぁくん来るからぁ♪あんまり時間とんないでよね!!》
と、勝手に切れた電話。
ったく、あの人は…
携帯をまたポケットに戻し、家とは逆の方向の電車に乗る。
向かう先は、姉の店。正確には母の店かな?


