「あ、そーだ拓真!!うちの姉が結婚するらしいよ。しかもデキ婚。」



「…」



思い出したことを拓真につたえると、拓真は口をポカーンと開けて目が点って表現がふさわしい表情だった。



「拓真ー?」



手を顔の前で左右に振ると、なんとかコッチの世界に帰って来たみたいだった。


「けっこ…ん?」



「だね。デキ婚、デキ婚。」



「マジでかっ?!」



背の高い俺の制服のシャツをグイッと掴み、自分の顔の前にもってきた拓真と俺の間は約10センチ弱ってとこ。



誰かに背中を押されたら即刻、俺ら2人は危ない関係に足を踏み入れてしまう。


まぁ、傍から見たら今の体制も十分危ないのかもしれないが、そこには触れないことにしておこう。



「だから言ってんじゃん。…てか顔近くない?」



「…デキ婚って…」



シカトってわけね。



ちなみに今拓真が俺の姉の結婚…(あ、デキ婚ね?)にショックを受けているのは、拓真が俺の姉のことを──



「っしゃぁっ!!」



…物凄く嫌いだから。