「昨日だよっ、俺んちでお前キレて帰っただろ。」



はぁ?!という顔をしながらも、なんとか説明するのを頑張っているみたいだけど…。昨日というと、あの『れい』という女の子のことしか覚えていない。



「拓真…ゴメン、何のこと?」



謝ってきた拓真に、何のことか分からずに謝り返すのはいったいどうなんだろう。



「は?お前、相当キレてただろ。本当に覚えてないのかよ?」



沈黙をもって返すと、拓真の深ぁぁいため息。



「そうだよなぁ、お前あんときかなり飲んでたしな…」



ボソボソと1人で呟き、納得する拓真には悪いけど。いつまでも教室の入口につっ立ってるのはみんなに迷惑だよ。



1人で自分の席に向かうと拓真は慌て後を追い掛けてきた。



「海斗〜話の途中!!」



「話の途中も何も、あれは独り言にしか聞こえないよ。」



「っうか、本当に覚えてないわけ?俺、説明したほうがいいの?」



「覚えてないし、説明もしなくていいよ。」



だって面倒くさいしね。



「はぁ…。じゃあ、とりあえず仲直りってことで。」


拓真の口調からして、俺たちはどうも喧嘩していたらしい。だけど、こんな仲直りの仕方ってあるのかね。


──まぁ、いいけどね。