昨日からしっぱなしな化粧と、涙で汚れた顔をきれいに化粧直しを始めていたら、車内の中にまた1人入って来た。



なんとなく目を向けるとそこには、アタシより年上と思える男の子がいた。



綺麗な顔立ちとは裏腹に、表情がとても寂しげだった。



なぜだか、アタシは彼から目を離せなかった。



それになんだか、「心ここに在らず」って感じで、とても危なっかしかったから…。



男の子を見ていると、入り口にほど近い椅子に座りアタシと同様に空を見上げていた。



それでも、やっぱり表情は寂しげだった…



化粧を再開したアタシの目をかすめるものがあった。


視線だけ鏡からずらすと、さっきのオヤジが男の子に近づいているところだった。



そのままオヤジの動きを見ていたアタシはオヤジの動きが不自然なことに気がついた。



なんてゆうか…
キョドってる…?



───怪しい。



男の子はやっぱり考え事をしながら窓の外を眺めていた。



オヤジの不自然な動きにも気づかずに…。