「ちょっとあんたいい加減に喋ったらどうなのよ!」

バンッ、と私の背後にある黒板を思い切り叩く。

ギャル系の女の子数人に囲まれ、罵声を浴びせられている。

これで何十回目だろうか…

ふぅと息をつき視線を逸らす。

「っほんっとにむかつく!」

勝手にむかつかないでよ。

私だって好きで声を出しないわけじゃないんだから。

自己中に考えて、勝手にむかついて…

ばかみたい。

そう考えるとバカバカしくなり、その女子生徒に視線をやり鼻で笑う。

「なっ!こいつ鼻で笑ったわよっ!?」

「ば、バカにしてんじゃないわよっ!」

一人の女子生徒が手を高く振りかざし、見事私の頬にヒットする。


パンっ、と教室内に響き渡る音。

叩かれた左頬はじんじんと痛み、熱を帯びている。

最悪。

傷をつけるなら目立たないとこにしてよね。

こんなわかりやすいとこにつけたら、ばれるじゃない。

てゆーかそろそろその辺にしとかないと…


「……てめぇら何やってんの?」


あーぁ来ちゃった。


女子生徒はビクッと震え声のする方向に青ざめた表情を向ける。


教室のドアへ寄りかかりながらこちらを睨む私の兄である瀬戸翔。


あーぁ…翔にばれちゃったかぁ。

と思いながら、床に落ちている鞄を拾い女子生徒の輪から外れる。


これ以上ここにいても意味ないしね…


翔の元へ行き、袖を引っ張る。


「帰ろう。」と


「…ッチ、てめぇらの顔忘れねぇからな。」


そう言い残して私と翔は教室を後にした。