「なんで…髪切ったの。」
あれ、何か不機嫌。
「真夏だし、前髪長すぎて前見えないし、邪魔だったから。」
…さすがに、『天野の隣にいても釣り合うように♡』なんて、そんな乙女チックなこと言えない。
「…ふーん。前髪以外にも切れてるけど?」
「だから暑かったんだって。」
「あ、そ。」
そして、沈黙。
この空気、嫌いだ。
ガチャッ
バタン
部屋に入ると、天野が口を開く。
「…オマエ、好きなヤツいんの。」
「は!?い、いねーよ!!」
突然の質問で、焦る俺。
…ってイヤイヤ。
なに焦ってんだよ。
確かにコイツのことは好きだけど。
それは、昔のをそのまま引きずってるわけで。
新しい恋なんて、ないし。
「…そんなにあせんなよ。」
天野にも伝わっていたようだ。
「べ、つに…!焦ってなんかねーし。」
「でも、好きなヤツやついるんだろ?」
俺が沈黙することによって、部屋が沈黙に包み込まれた。
「…んだよみずくせーな!!もっとはやく教えろって!!」
…?
天野は、急に声のトーンをあげていった。


