[B L]だからスキって言ったのに




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夏音が出て行った後、天野は歯を食いしばっていた。


追いかけたかったが、それをしたら負けるような気持ちだったのだ。


「…クソッ」


別に夏音を信じていなかったわけじゃない。

信じていたからこそ、天野は悲しかった。

悔しかったのだ。


裏切られた心地だった。


「夏音…」


あれだけ夏音に言われても、天野は自分の中の感情を消すことができなかった。


「もうオマエの言葉が…

どれがホントでどれが嘘なのか、わかんねぇよ…!」


今まで夏音と過ごしてきたこの部屋にいたくなくて、夏音のことを思い出したくなくて。





天野はしばらく、クラスメイトの寮部屋へ潜り込んだ。




お互いが消える辛さを知っているにも関わらず、今お互いは自ら離れようとしている。





これが俗に言う、“すれ違い”







そしてその“すれ違い”は、だんだんとエスカレートしていく──────…