「え、すみません。俺なんかヘンなこと言いました?」
突然の態度急変により、焦る俺。
「あ、いや…」
どうも先輩たちの歯切れが悪い。
「あの…って、わっ!!」
立ち上がろうとした勢いで、マグカップを落としてしまった。
「うわ、最悪。服びしょびしょだ…。スミマセン、先輩。なにか着るものを貸して貰えないでしょうか?あと、タオルも。」
いや、さすがに図々しいか。
「や、いいけど…ぶかぶかだと思うよ?」
「あー、別に気にしないです。」
先輩の背は、189㎝だ。弓道でも、様になる。
その点俺は、169㎝。撫で肩だし、肩幅もない。
その上もうのびない。
最悪だ。
俺は濡れたパーカーを脱ぐと、先輩が服を渡してくれるのを待つ。
誰もなにも喋らず、先輩方の顔は真っ赤っかだった。
「先輩、まだですかー。」
「おう、すまん。なるべくちっせーの探してるからもうちょい待ってろ。」
「はい。」
俺は、しばらく待つことにした。
「…ね、夏音チャン!」
中津…?先輩が、話しかけてきた。
「え、と、中津先輩…ですよね?」
「そう!あのさ、肌、白いねー。」
「そうですか?そんなこと言われたの初めてです。」
「触ってもい?」
「構わないですけど…」
「あ、中津ずりぃ!!俺もさわる!!」
「おい芹沢、抜け駆けすんなよ!」
「夏音チャン、俺もさわっていーよね?」
うわうわ、何か大変なことになってしまった。


