天野は、教室に行ったらいなかった。
…別に、約束してたわけじゃないから良いけどさ。
なんか断ってから行けよ…!
って、なんで俺拗ねたみたいになってんの?
はぁ…
しょうがない。
部屋に戻ったら、説教してやるか。
そう思い、寮へ向かう足を速めた。
ガチャッ
「…ッ、先輩…」
部屋のドアを開ければ、そこには先輩が座っていた。
この寮には鍵がない。
こういうところが不便だ。
「…何であんなこといったんですか。
天野は俺を信じてくれたから良いけど…」
「フフッ、果たして本当にそうかな?」
「…どういうことですか。」
「夏音はなんであいつを信じるの?」
話を巧くすり替えられる。
「そんなの、決まってます。
天野が俺を信じてくれるからです。」
俺が言うと、先輩はクスクスと笑った。
「…なにがおかしいんですか。」
俺は少し先輩を警戒しながら言う。
そして先輩は、言った。
「アイツならたぶん帰ってくるのが遅いから、それまでずっと2人きりだな。」


