天野と東悟先輩は、だんだんヒートアップしていく。
でもこの時間は人がこないから、不幸中の幸いだ。
「だからなにも吹き込んでないって。
でも、夏音が変わったんだとしたらそれは、俺の影響じゃねぇの?」
先輩が、天野を挑発するように口角をあげた。
「宇野、てんめぇ…!」
「天野!!
やめろよ…!
手は出しちゃだめだろ。」
「夏音はコイツを庇うのかよ…!」
「ちがっ…
そういうわけじゃない、けど…!」
「夏音、恥ずかしがるなよ。
こいつに罪悪感なんて感じなくて良いんだぜ?
なにしろ、俺と夏音は…」
先輩は、俺の肩に手を回した。
「先輩!!
なにを言ってるんですか!?
俺は、俺は…!
ちゃんと、向き合おうとしてたのに…ッ!!」
情けない。
なんでここで泣くんだよ。
「…宇野。夏音に触んな。」
天野は先輩の腕を俺からはずし、俺の手を握って走り出した。
後ろで
「夏音!!
…おまえらは、いずれ崩れるんだよ!!
どうあがこうとな!!
だからそれを…!
今日、分からせてやるよ!!」
そんな言葉を叫ばれた気がした。
俺はただただ、天野の右手を強く握ることしかできなかった。


