食堂の厨房に入る。
「…お疲れさまです。」
「あら、早いわね。」
「たまたまですよ。」
いつものおばさんと会話をしながら、コックと同じ服を着た。
長い帽子はいつもかぶらない。
邪魔だから。
「おー、夏音、コックやってたのか!」
あ、そうか。
いつも天野とはすれ違いだったから、天野は知らないのか。
ザワザワ
ザワザワ
だんだんこんできたな。
夕食はさっき作って食べたからいいけど、おばさんたちが大変そうだから手伝っている。
「夏音、大変だなー。」
俺が大変なのを見て、笑っている天野。
からかわれても、別に気にしない。
天野は、ずっと俺が働くのを見ていた。
「…かーのん!」
弓道部の先輩、宇野 東悟-ウノ トウゴ-だ。
人懐っこくて、俺にも親しく接してくれてる。
「東悟先輩?どうしました?」
「いやー、久々に夏音の親子丼食べたくなっちゃって。」
「分かりました。5分でできますから、待っててください。」
そう言って俺は、親子丼を作った。


