「でも俺、津白のこと好きなんて…」
「そう、分かってた…!!
夏音君からキスしてくれることも、
抱き締めてくれることも、
好きって言ってくれることもなかった…!!
でも今更、わたしの勘違いでした、で終わらせたくなんかない!!」
「津白、ホントに悪かった。
だから、俺をフってくれよ…」
「ずるいよ…夏音君、ずるい。
そうやっていわれたら…憎みきれないじゃない…!!」
「ごめん。」
「…夏音君、嘘でもいいから『好き』って言って。そうしたら許してあげる。」
「それはできない。
自分の気持ちに無いことを言うのはできない。
アイツにも申し訳ない。」
「はは、散々わたしを利用して、勘違いさせたクセに?」
「だからこそ、嘘つけないんだ。」
「…夏音君」
「あと、小林ってよんでもらえないかな。
それが、アイツの最後の望みなんだ。」
「…どれだけ独占欲強いのよ。
わたしにはなんの自由もないのね。」
「ごめん。」
「キスマークもその人なんでしょう?」
「…うん。
嘘ついてごめん。
昔のアイツにも嫌われたくなかった。」
「ずるい人。
…もう、いい。分かった。
別れよう。」
「…ありがとう。」
ぱちんっ
「最っ低。」
俺の右頬を思いっきりひっぱたいてから、津白は屋上を出て行った。
叩かれたところが、ヒリヒリする。
「いってぇな……クソッ」


