俺は、袴を脱いで、制服を着る。
「…ほら、いくぞ。」
「おー。」
2人そろって歩き出す。
「…。」
「…。」
会話がない。
この状況を、どうしろと言うんだ。
「夏音は、いつも夕食時になるとどこ行くんだ?」
いきなり、なにを聞かれるかと思えば。
「…食堂。」
「なんだ、じゃあ今日から一緒に行こうぜ!」
なんで、天野と。
「…勝手にしろ。」
俺の口からでたのは、思ってた言葉と真逆だった。
寮につく。
時計を見れば、もう五時半だった。
「…あ、夏音どこ行くんだ?」
関係ないだろ。
「…食堂。」
まただ。
言葉と気持ちが合ってない。
「ちょい速すぎじゃね?」
「この時間が丁度良い。」
「…じゃ、俺も行く。」
じゃってなんだ、じゃって。
そんなのまるで、オマエが行くなら俺も行く、みたいな感じになってるじゃないか。
期待させるようなこと言うな。
勘違いさせるようなこと言うな。
違う。
コイツは無意識だ。
俺のことなんて、何にも思っちゃいない。
そう思えば、少し気が楽になった。


