それ以来、杏里は俺にべったりになった。
「あ、夏音君!次の移動教室、一緒に行こー!」
「あ、うん。」
俺も俺だ。
ちゃんと断れよ!!
…っていっつも思って、毎回断れないんだけど。
「そういえばね…」
杏里は強引にうでをくんでくる。
杏里の話は、全く耳に入ってこなかった。
なぜなら、天野の事しか考えられなかったからだ。
杏里と一緒にいるとき、天野とすれ違うたびに気まずい思いをかくし、目が合えば無意識にそらしていた。
「…ねぇ、聞いてる?」
「…え?あ、ごめん。」
「…………夏音君は、あたしと美由紀ちゃんが溺れてたらどっちを助ける?ってきいたの。」
美由紀?
だれそれ。
「杏里に決まってんだろ。」
「そっか♪」
知らない女を助ける義理なんてないし。
それから、杏里はご機嫌だった。


